今回はこんな疑問に答えていきます。
私は1年3ヶ月の間ベンチプレスの重量が5kgしか上がらなかったという悲しい経験があります。
「私はベンチプレスが向いていないんだ」
そう思い、いつしかベンチプレスが嫌いになり始めていました。
ある時自分の体を見直した結果、自分の体のペラペラさに絶望しました。
「2年くらいやっているのにこんな体か。。」
焦燥感に枯られ、一からまた真剣にトレーニングを学び始めた結果、なんと3ヶ月で20kgの重量を挙げることに成功しました。
この記事ではベンチプレスが大嫌いだった私がどのように克服していったのかを解説していきます。
少し長い(5000字)ですが、これを読むことによって今後の何ヶ月もの時間を節約することになると思うので、ベンチプレスを伸ばしたいと思っている方はぜひ参考にしてください。
・ベンチプレスの停滞から抜け出したい人
・初心者から中級者の人
Contents
ベンチプレス の重量推移
何キロから何キロに上がったた大事だと思うので、私のベンチプレスの重量がどのように推移したのか最初に紹介させてください。
0~1年: 20kg→80kg
1年~2年3ヶ月: 80kg→85kg
2年3ヶ月~2年半: 85kg→105kg
1年~2年3ヶ月は本当に苦しみました。
しかしこのExRx.netのStrength Standardsの表によると改善をしたことで3ヶ月で中級者から上級者に一気に近くことができました。(体重75kg)
ベンチプレス の重量を20kgあげるためにやったこと
結論から言うと7つあります。
2.セット数を抑える
3.トレーニング時間を1時間にする
4.体重を増やす
5.筋トレを必ず振り返る
6.常識を疑う(グリップ幅を狭めた)
7.最初の1セットに魂を込める
それではそれぞれ見ていきましょう。
1,体内のエネルギーを満パンにした
まず第一に炭水化物の量が全く足りていませんでした。(恥ずかしいことに当時はグリコーゲンという言葉自体よく分かっていませんでした)
分からない方のために説明すると、グリコーゲンとは、筋肉に蓄えることができる糖の一種で、筋肉を収縮させるためのエネルギー源になるものです。
『入門運動生理学』という本によると、グリコーゲンは筋肉に250g、肝臓に110g,血液中ではグルコースとして蓄えられているそうです。(筋肉量にもよります)
グリコーゲン1gにつき4kcalのエネルギーを出力できるので、約1500kcalのエネルギーを体内に貯蔵しています。
私はこのグリコーゲンを補充できずに次のトレーニングをしてしまっていたので、瞬発的なパワーが出ない上に、すぐバテてしまうといった状況でした。
私は多少余って体脂肪になるのを許容し、次のトレーニングまでにできるだけたくさんのグリコーゲンを蓄えるように改善しました。
そうすることによって筋トレ前からパワーがみなぎる状態を作り出すことができました。
2.セット数を減らした
2つめにセット数です。私は胸を大きくしたいあまり、過剰にセットをこなしていました。
ダンベルフライ 5セット
インクラインダンベルフライ 5セット
ケーブルクロスオーバー 5セット
これらのメニューを短いインターバルで行い、いわゆるオーバートレーニングという状態になっていました。
しかしある時ATHLETEBODY.jpの無料pdfを(詳しくはこちらから)見つけ、自分のやり方がいかに的外れだったか知ることになりました。
学んだ内容を参考に自分なりのアレンジを加えた結果、私はそのやり方を以下のように変えました。
インクラインダンベルプレス 3セット
ダンベルフライ 3セット
これを週2回です。
最初は「ここまで減らして大丈夫かな」と思いましたが、これが自分にはかなり合っていました。
時間があれば無駄にダラダラしてしまうように、セットが多いと次に追い込めばいいやと思い、永遠に出し切れません。
それよりも「合計9セットしかない。毎回出し切るぞ」と思いながら、鍛えることによって少ないセットで力を出し切ることができました。
3.トレーニング時間を短くした
私はトレーニングを1時間半から2時間くらいしていました。
しかし勉強をするにつれ、科学的にも長時間トレーニングは筋肥大に悪いことを知りました。
テストステロンは長時間のトレーニングによってレベルが下がってしまい、また筋肉を分解するコルチゾルは長時間のトレーニングによってレベルが高くなっていきます。それでは効率的な筋発達は見込めません。
運動開始後、だいたい75分くらいでこれらの現象が生じるため、できれば1時間以内のトレーニングで終わらせるようにしたいのです。
山本義徳業績集8 筋肥大・筋力向上のプログラミング
原因は以下の2点でした。
・分割が大きすぎて時間が足りなかった
・セット数が多すぎる
なので3分割から4分割に増やしセット数を減らした結果、集中力が最後まで持続しパフォーマンスが上がりました。
4.体重をあげた
4つ目は体重に関してです。私は1年目から2年3ヶ月の間はほとんど体重を上げずに筋トレをしていました。
理由は2つあります。
・体重の過度な上げ下げは健康に悪いと思った
このような理由から体重を上げるのをやめましたが、体はほとんど変化しませんでした。
意外と体重を上げないでいる方は多いのではないでしょうか?
私はこれがベンチプレスの重量が上がらない要因の一つだったと今は思います。
もちろん体重を増やさずに重量が伸びていく人はいますが、それは本当に少数です。
使用重量が変わらなかったらそれは体操と一緒で現状維持ですので、初心者こそ忠実に負荷を上げていく必要があります。
負荷の上げ方にもたくさんありますが、一番分かりやすく手っ取り早いのが重量を上げることなのです。
しかし闇雲に体重を上げるのはお勧めできません。
よく「〜キロ太りました!」というのを良く見受けられますが、それは手段と目的が逆転してしまっていると思います。(私自身も失敗しました)
なのでいかに体脂肪をつけずに筋肉をつけるか?という原点に帰って考えました。
そんな中出会ったのが以下の記事です。
20年以上フイットネス業界においてアスリートの食事管理とトレーニングメニューに関するアドバイスを行ってきた研究者である、アラン・アラゴン氏の調査でほぼ全ての一般男性に当てはまる筋肉が増える速さが分かったのです。
私はこれを信じ、毎月約2kgずつ増やすように増量しました。(中級者トレーニー(トレ歴2.3年)は1ヶ月に体重の0.5%〜1%増えるというものを参考)
75kgの私の場合1ヶ月で最小375g、最大で750g筋肉が増えるということが分かったので、多少脂肪がつくのを許容して毎月2kg増やすという選択です。
その2kgの増量幅の中でいかにベンチプレス をあげるかというのを考え、ベンチプレスの日に炭水化物を固めるなどの工夫もし、結果20kgの重量を上げることに成功しました。
5.毎回のトレーニングを振り返った
私は今までなんとなくベンチプレスをしていました。
しかしこれでは今日なんのためにベンチプレスをし、何が良くて何が悪かったのかが分からないので、永遠に悩み続けます。
これでは永遠に現状維持のままなので、毎回のトレーニングで必ず振り返る必要があります。
一流のスポーツ選手、経営者も日記やノートという形で自分の考えを整理し、課題を認識します。
彼らが成功する理由はいかに早く今の自分の課題に気づき、たくさん乗り越えるからです。
なので私たちも一緒で毎回のトレーニングを振り返ることで明日は何をするのか?という改善案が出ているわけです。
この日々の積み重ねが私たちを遠くに連れて行ってくれます。
なので筋トレをしたら必ず、以下の三点をメモします。
・良かったこと
・悪かったこと
・次のトレーニングでどうするか
筋トレ中にも感じたことを携帯でメモをして、家で次回どうするか計画し、カレンダー手帳に書き込みます。
来週に挙げる重量もあらかじめメモをしておき、その日がくるまで「絶対この重量を挙げる」と頭に刷り込んでおいて、その日必ず達成するといった感じです。
行き当たりばったりで重量を決めるより、達成率がはるかに上がりました。
6.グリップ幅を狭めた
上記の「筋トレを振り返らなかった」に、少し被るかもしれませんが、私に非常に効果があったので紹介させてください。
ベンチプレス のグリップ幅は81cmであるべきとか肩幅の1.5倍で握るべきというようなことを動画で学習したので、私はなんとなくその通りにしていました。
しかしY4のrijuさんの動画を見たときに「自分狭いグリップの方が効くんですよ〜」と言っていたのを参考に自分で試してみました。(手幅はワイドグリップと、ナローグリップの間といった感じです。)
そうするといきなり5kgも重量が伸び、直感的に自分に合っていると感じました。
やはり骨格も人それぞれ違いますし、一般常識とされていることを真似しても合わないことがあることをそこで知りました。
このように常識に縛られないのも大事だと思います。
7.魂を込めた
精神論になりますが、私はベンチプレス に魂を込めていませんでした。
特に最初の1セット目です。なんとなくその日に重量を決め、普通に失敗していました。
しかし1セット目に前回の重量を必ず越えることができるように、トレーニングするようになりました。
過去にボディビルダーとしてとして活躍し、現在東京大学で教授をされている石井直方氏も以下のように述べています。
一般の人はもちろん、スポーツ選手や指導者にも、歯を食いしばるようなトレーニングをせず、できるだけ楽をして身体を強くしていきたいという考えがあるかもしれません。あるいは、重いものを持つとケガをする危険性が高くなるので、それを避けたいという意見もあるでしょう。
私自身、長年トレーニングをしてきた経験から、楽をして強くなりたいと思う気持ちはよくわかります。しかし、残念ながら、その発想は根本的に間違っていて、楽をして強くなるというのは実現不可能な望みなのです。
これだけヒトの身体に関する研究が進み、トレーニング科学が発達してくると、ともすれば必死にトレーニングをしなくても筋肉を肥大させることが可能なのではないか、テレビを見ながら筋肉を動かしていても強くなれる方法があるのではないか、という錯覚を起こしがちですが、そんな夢のような方法は今のところ見つかっていません。
「楽をしたら強くなれない」というのは昔の指導者の意見であり、根性論であるかのような印象を受けるかもしれません。しかし、これは生理学的にも正論です。なぜなら、身体が強くなる理由は、身体を強くしなければならない状況になったからであり、そういう状況に追い込まれたときに初めて生理学的適応が起こるからです。それが生物の基本的な仕組みなので、その仕組みを省略するという考え自体、無理があります。
やはり強くなるには、それにふさわしい刺激が必要であり、その苦しさを乗り越えた先に、身体が変化するという喜びが待っているのです。これは選手やコーチにとって、絶対に必要な考え方だといえるでしょう。
チャンスは最後の数発しかありません。それまではアップです。
今までの自分を超えると言うことは非常に大変なことですが、最後はやはり気合いが大事になってきます。
最後に
今思えば「自分は一年何をやっていたんだ」と思ってしまいますが、自分のことを客観的に見るのはなかなか難しいです。
一人でやる場合は特に一つ一つ課題と向き合い、短期間で対処していくことが大事だと思います。
ベンチプレス の重量が上がってどうなったかというと、以下の通りです。
・加重懸垂は30kg、スクワットは30kg上がった
・限界は自分で作っていることを知った
・本業の仕事にも生きた
ベンチプレスの世界王者で有名な児玉選手もmaxが180kgで2年停滞していて、高頻度ベンチプレスというものを取り入れたら半年で25kgも重量を上げたそうです。
これを見て人間の可能性というのを感じました。児玉さんの本を読みましたが、毎日ものすごい試行錯誤をしているのが良く分かります。
なので児玉さんだからできたんだと思考停止をせずに、自分の可能を信じてベンチプレスの限界を突破しましょう。
自分の脳との戦いです。「もうだめだ」と思うともうだめです。
今までは「100kgなんて無理だ」と思っていましたが、正しい筋トレをすれば誰でも140kgは挙がると今は思っています。
ぜひこの記事を参考に実践してみてください。
まとめ
2.セット数を抑える
3.トレーニング時間を1時間にする
4.体重を増やす
5.筋トレを必ず振り返る
6.常識を疑う(グリップ幅を狭めた)
7.最初の1セットに魂を込める
参考図書
『入門運動生理学』(杏林書院,勝田茂)
『ベンチプレス基礎から実践』(体育とスポーツ出版社,東坂康司)
『山本義徳業績集8 筋肥大・筋力向上のプログラミング』